子どもに我慢を教える理由とは?

子育てでは、子供に我慢を覚えさせることが大切だとよくいわれます。
なぜ、子どものうちから我慢することを教えなければならないのでしょうか?
「我慢ができること」は、人が幸せに生きるための重要な資質だからです。

スタンフォード大学で約40年にわたって実施された、「マシュマロ・テスト」という実験をご存じでしょうか。
4歳児の子ども186人を対象にした実験で、子供の目の前にアルマシュマロを1個置き、「15分間食べずに我慢できれば、マシュマロを2個あげる」と言ったときの反応と、大人になってからの満足度を調査したものです。
実験結果では、15分間我慢でき子どもは、全体の1/3でした。

その後の追跡調査によると、我慢できたグループの方が周囲からの評価が高く、大学進学適性試験の点数も210ポイント高かったということです。
さらに、その傾向は40年後も続いていることが分かりました。
つまり、幼児期教育において我慢を教えれば、その子が成長して大人になっても幸福度を感じやすくなる確率が高くなるのです。

年齢別の我慢の教え方

我慢することが大切だといっても、赤ちゃんのうちは我慢という概念がないので、教える必要はありません。
一般的には、イヤイヤ期が始まる2歳頃から我慢という概念が芽生えてきます。
この年齢から我慢をすることを教えるのがよいでしょう。

2~3歳にかけてのイヤイヤ期は自我が生まれ、自己主張が強くなる時期です。
大人からみると、わがままな言動が多くなります。
子どもの成長にはわがままも必要ですが、「ダメ!」「我慢をしなさい!」と叱るだけでは忍耐心や自制心を養うことはできません。

なぜ、我慢しなければいけないのか、その理由を説明しましょう。
叱って無理強いするのではなく、「それはよくない」ということを理解させるのが、2~3歳の時期です。
根気よく伝えることで、2歳では我慢できなかったことでも、3~4歳になるときちんと我慢できるようになります。

例外は、ケガや病気などの危険が及ぶときです。
このときは、毅然とした態度でやめさせる必要があります。

4~5歳になると、2~3歳児に比べて我慢する力が格段に伸びてきます。
子どもが自分で考えて「我慢しよう」と努力する力を伸ばしましょう。
同時に、公共の場で騒がない、周りの人の気持を考えて行動するなど、社会ルールを覚えさせることも大切です。

例えば、病院などの公共施設で騒いだり走り回ったりすると、ぶつかって危ないだけでなく、周りの人が不快に感じます。
みんなが気持ちよく利用するためには静かにする必要があることを説明して、「なぜ、我慢しなければいけないのか」を理解させましょう。