過保護と過干渉の違いって?

子どもを育てている上で、どうしても意識してしまうのが子どもとの適切な距離感ではないでしょうか。
というのも、近年、「過保護」や「過干渉」という言葉で親から子どもへの接し方が問題視されるようになってきました。

いくら子どものためを思ってやったこと、言ったことでも、それが本当に子どものためになっているかは分からないものです。
客観的に見たら子どもに対して良くない親になっていたということもあり得ます。
まずは「過保護」「過干渉」の言葉の意味を押さえ、どういうものかを理解していきましょう。

過保護とは言葉通り、過剰に子どもを保護してしまう状態です。
例えば、子どもが転んで大怪我をしないようにプロテクターをつけてあげるのは保護の範疇ですが、そもそも転んでしまわないように、適齢期を過ぎてもベビーカーを使う、常に抱っこするとなると、過保護と感じる方も多いのでないでしょうか。
これに対し、過干渉は子どもの意志や希望を無視して、親の意向を押し付けてしまう状態を指すことが多いです。
さっきのたとえを出すと、子どもが自分で歩きたいと主張しているのに、怒ってでも親の意志で抱っこを続けるような状態です。

「ヘリコプター・ペアレント」の意味

過保護、過干渉という言葉と共に、「ヘリコプター・ペアレント」という言葉も知られるようになりました。
子どもの上をヘリコプターで旋回し、常に監視しているような親を指す単語です。

子どもはある程度年齢を重ねると、自我が出てきて、自分で考えて物事を決断するようになります。
その結果、失敗してしまうこともありますが、そこから得られる経験というのも人生を生きていく上で重要です。
例えば、天気予報を見ずに服装を決めて、「暑かった」「寒かった」という経験を繰り返すと、天気予報を見て適切な服装を自分で選べるようになっていきます。

このような経験をさせず、常に親が先回りして、「今日はこの服」と理由も告げず毎日決めて渡していたら、子どもは自分で洋服を選ぶ基準や理由を学べないままです。
このように、子どもから失敗やその経験を奪う親が「ヘリコプター・ペアレント」と呼ばれます。

ヘリコプター・ペアレントに育てられた子どもはどうなるの?

なんでも親がやってくれる、親がやってくれることに従わないと怒られるといった状況で育てられると、子どもの自立心はとても育ちにくくなります。
「今日の服装」のような簡単な出来事でも、自分で考え、自分で決めることができなくなってしまうのです。
親は、子どもが大人になり、老いていくまでの面倒を見届けることはできません。
自分で自分のことが何もできない子どもにしてしまうのは、やはり健全な成育環境とは言えないのではないでしょうか。